お早うございます。早起きディレクターです。
昨日は仕事も一段落して暇だったので本棚から懐かしい本を引っ張り出して読んでいました。
「マスターズ・オブ・ライト」(フィルムアート社)という映画関連の本です。
ディレクター駆け出しの頃に出会った一冊「マスターズ・オブ・ライト」
映画関連の本と言っても話題の映画作品を紹介する本でも撮影テクニックの解説本でもありません。
かつてアメリカン・シネマで活躍した撮影監督たち(つまりカメラマン)の撮影現場での体験談や思考法などをインタビュアーが記録してまとめた、どちらかというと”裏方さん向けの地味な本”なんですがこれがめっぽう面白い。
この本を買ったのは確か20代のなかば過ぎでした。
テレビの制作会社に入社したものの映像に関する何の知識もなく、何から手を付けていいのかわからない頃に、藁をもすがる思いで手にした一冊です。
最初は小さい文字がびっしり詰まっているし、撮影技法のことにも触れていないので少しがっかりしましたが、読むうちにどんどん引きこまれていきました。
特に本の中に書かれている監督とカメラマンの関係。
中でも集団スタッフでの空気作りのあり方などの部分は夢中になって読みました。
そしてどんな巨匠たちでも皆、人間関係の中であがき苦しんでいることを知り共感して安心もしました。
大監督と名参謀カメラマン
たとえば本に登場するひとりに名作「クレイマー・クレイマー」などを撮影したネストール・アルメンドロスという巨匠カメラマンがいます。
自然光をたくみに使い、映画、絵画、写真などの博識な芸術知識を活かした芸術的な映像美で知られる人なんですが、彼がヌーベルバーグの代表的監督であるあのフランソワ・トリュフォーと仕事をした時の話。
(インタビュアー)「トリュフォーとあなたの仕事上の関係はどんなものだったのですか?
お互いにどんなインプットを与えあったのですか?」
アルメンドロス「トリュフォーは撮影中の良い雰囲気が映画を良いものにすると信じている人間です。セットではヒステリーを起こすものもいないし、怒鳴り声もない。クルーの全員が家族のようになっている。
トリュフォーは天才でありながら誰の意見にも耳を貸すんです。
そしてその意見を利用しながらもまぎれもなくトリュフォー映画を作り上げる。
それが彼の偉大な才能のひとつなんです。」
他にも、いかに現場で撮影者は「直感」に従わなければならないかとか、とあるアメリカの監督が無駄にフィルムを回しすぎることへの苦言とか、思わず「ふむ」と唸ったり吹き出したりする内容ばかりです。
アナログ時代の話ですがきっと今のディレクターだけでなく技術さんにも参考になる本だと思います。
で、この本をぜひ自分の後輩たちにも読んでほしいなと思ったのでネットで調べてみたら、どうやら今は中古本でしか売られていないようです。
なんならお貸しますよ。
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