テレビ業界は本当に激務なのか? TVあるある話 ① 

2020年3月14日土曜日

TVディレクターの仕事

t f B! P L
おはようございます。早起きディレクターです。

「テレビの仕事ってしんどくないの?」

これは、よく友人や親戚から聞かれることですが、35年間この仕事をしてきたぼくの結論をいうと

それは「人それぞれ」です。                               
         


テレビにも色んな人がいます(色んな番組があります)
番組を作る制作現場の人、カメラマンや音声など技術の人。どの時間に番組を流すかを決める人。ちゃんと流れているかモニターでチェックする人。
番組予算を集めるためにスポンサーを探す人。新たな事業を考える人。偉い人。偉くない人。ほどほどの人・・・

激務かどうかは仕事の種類によります。さらに言うとその人の年齢域にもよります。
もちろん局員かプロダクションによっても大きく違います。
これはどんな職業でも同じでしょう。

ディレクターの机は、だいたい乱雑。


仕事がハードでしんどいかしんどくないかのポイントは、激務でもそれが”自分の意志”によるものなのかどうか?に関わってきます。(自分の場合ですが)

もちろん最初からすべてを自分の意思でできるわけはないし、入社してはじめの頃はただ忙しいだけの時期もありました。
正直、そのときは辛かった。  



激務の時代もありました。                                



自分の場合制作プロダクションに入社してすぐ、20代の中頃はまともな時間に家に帰れないことが当たり前でした。
連続2,3ヶ月間休日無しの勤務など何度も経験しています。
特番の時期になれば、取材と編集で徹夜作業などは日常茶飯事で、用意していた下着や靴下の替えがなくなりよく会社の洗面所で頭や足を洗っていたものです😅              
     
いまでも忘れられないのは、2、3日徹夜が続いた朝など、まるで口から喉の奥に長ーい鉛の棒を飲み込まされたような最悪な気分だったこと。
若かったからそんなことにも耐えられたんでしょう。
でも、当時の制作会社はアシスタントDには残業手当など一銭も出ません。
今ならまさにブラックです。
(でも、技術さんたちは各種手当てをもらっていました。きっと労働組合がしっかりしていたのでしょう)




でもそれはそれで仕方ないと思っています。
その頃の自分は一人では何もできなかったんですから。
そして20代後半、結婚もして、半人前とはいえようやくディレクターになってからはかなり生活パターンも変わりました。

それは「自分で仕事のやり方や時間配分が決められる立場になったから」です。

ここがポイント、転機です。
要は”自分の意思で物事を決められるかどうか”です。   
 
それができるならきっとディレクターになれます。
逆にディレクターになっても自分のやり方を自分で決められないのならば、それはディレクターではありません。単なるアシスタントディレクターに毛が生えただけの立場です。
(もちろん自分流を通すにはそれなりの実力と外部との軋轢が伴います)

そして、さらにいっちょ前のディレクターになってからもハードワークは続きます。
でもそれも自分で決めたことなら我慢もできます。
だいたいディレクターなんて仕事以外の時間でも常に自分の番組のことばかりを考えているような人種です。
(ディレクターは常に番組を背負っています)
だから労働時間なんてあってないようなものですし、本人たちにはそれはそれで楽しいのです。


とにかく僕の場合は忙しさが原因で辞めたいと思ったことは一度もありませんでした。
とりあえず”先輩とコミュニケーションが取れているうちは大丈夫”でした。


辞めるきっかけになるのはやっぱり人間関係                   


一番困るのは「苦手なタイプの先輩の下に配置させられた時」です。
僕の場合は25歳の入社したての3ヶ月間が最大のピンチでした。


その先輩は部下には基本無関心でダメ出しをする以外はまったく会話をしてくれない方でしたから、これにはほとほと参りました。
仕事の指示もないのでこちらもどう動いていいかまったくわからないし、下手に動けば怒鳴られる。
かなり心理的に追い詰められた記憶があります。

仕事の基本は人間関係ですが、それも結局は「運」です
僕の場合運良くその3ヶ月後に偶然の部署替えがあったので救われましたが、会社はそんな人間関係なんて何にも考えてくれません。                           
                           

当時はその先輩も若かったし、きっと自分のことでいっぱいいっぱいだったんでしょうが、今となって思うのはそんな状況に陥ったならとにかく逃げる(配置換えを懇願する)ことをおすすめします。
もちろんそれは最後の手段ですが、きっと仕事現場を見渡せばひとりくらいはあなたのことを見ていてくれる先輩もいるもんです。
ちょっとだけ勇気を持って目線を上げればそんな人が見つかるかもしれません。
もし、そんな話のわかる人が全くいないような絶望的な組織ならば本当に逃げたほうがいいです。


今は時代も大きく変わりました。
ディレクターも昔より穏やかで優しい人が増えました。
やさしい女性のディレクターも増えました。
でも、たまにADさんの中にはどことなく寂し気になんだか途方に暮れているように見える子もいます。
人は結局、仕事のハードさよりも”人と関われない”ことが一番つらいんじゃないでしょうか。


関連→テレビ業界は本当に激務なのか? TVあるある話 ② 
 




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大阪市, 大阪府, Japan
関西在住。早起きのベテランTVディレクターです。これまで旅モノやドキュメンタリーを中心に活動。MBS「ちちんぷいぷい」の旅コーナー”『とびだせ!えほん』『前略、旅先にて』やKTV「ふるさとZIP探偵団」などを担当していました。 テレビ業界での経験話からドラマや音楽論。そして趣味の占星術まで色んなジャンルの話題をつづっています。

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