お早うございます。早起きディレクターです。
かつては日本の中小企業の寿命はだいたい30年くらいだったと何かの本で読んだことがあります。
でも30年も続く会社って今の時代で考えれば大したもの。 仮にも30年という歳月を2回分経験している身なのでいわせてもらいますが、30年ってなかなかの長さです。
僕が定年退職まで過ごしたテレビ制作プロダクションは、創業が1996年でした。
創業時から在籍したので合計24年間いたことになるんですが、30年と言わずとも20年以上あれば会社の空気はがらりと変わります。
それは受注する仕事の影響もあるでしょうが、やっぱり1番の要因はその時そこにいる人間の個性です。
最初はできたばかりのテレビ制作会社ですから、よそのプロダクションからの”孫受け”や”ひ孫受け”仕事なども多くみんな苦労していましたが、それでも社内にはどこか活気がありました。まさに会社が青雲の志を持っていた頃です。
忙しい最中に早朝からみんなで集まって草野球をしたのも楽しい思い出です。
しかし、活気があるからといって社員が辞めないか?と言うとそんなことはありません。
当時からアシスタントディレクターの出入りは激しかったです。
よくテレビ業界は激務だからアシスタントがすぐに辞めていくなどと言われますが、それよりもっと大きく影響するのは人間関係。中でも多いのは直属の先輩の人柄でしょう。
もちろんアシスタントが次々に辞めていくからその上司が駄目で無能だとはいいません。逆に優秀なディレクターも多くいます。
それよりも僕が言いたいのは、アシスタントディレクターは良くも悪くも先輩ディレクターの影響下にあるということです。
中には入社して半年も保たずに辞めていく新人もいますが、もし辞めるきっかけになったのがたまたま配属されたディレクターの差配のせいだったのなら、それは彼(彼女)にとって不幸すぎます。
入社したばかりの若者たちは、いつも素直なひよこのように先輩たちの行動を見て学んでいます。そしてそれは確実に次の世代に受け継がれていきます。
だから僕らが常に心しなければならないのは、僕らは若いアシスタントディレクターたちの将来を背負っているということです。
そして後輩は先輩と同じことを繰り返す
アシスタントが成長して、かつて学んだディレクターとよく似たタイプになる例はたくさんあります。
アシスタントをあごで使うディレクターに学んだ若者は自分が成長すれば、また同じように下の人間をあごで使う。
逆にまだ若いうちに映像の基礎や取材先に対する礼儀を覚えれば、彼らはきっと自分が成長したときに同じように自分の後輩にも学んだことを伝えてくれるでしょう。
でも、不幸にして半年で辞めてしまったものにはTV業界に対する不信感しか残りません。
残念なことです。
こうして新陳代謝が繰り返されて、いろんなディレクターが育っていき20年もたてば会社の空気はがらりとかわります。
さらに成長する会社もあれば、社員が育たなくて衰えていく会社もあるでしょう。このようにして「社風」というものが形作られていくのでしょう。
手をのばせばきっと誰かに届きます
昔は先輩から「教えられる前に自分で盗め」などと厳しいことを言われましたが、そういう上司に限って、案外と懇切丁寧に教えてくれたりしたものです。
でも、いまや周りを見渡せばテレビ業界も派遣社員の制度が進み、自社の先輩から仕事を教わることさえできない制作ディレクターが増えています。
彼らは自ら進んで誰かに教えを請うか、見よう見まねで覚えるしかありません。
やはり30年もたつと、世の中は大きく変わります。
でももし今、業界を辞めたいと悩んでいる若者が目の前にいたなら、僕の言えることはひとつだけ。
「テレビ業界には君が苦しんでいる場所以外にも楽しく仕事ができる場所がきっとあるはず」
です。
手を伸ばしてください。
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