佐藤蛾次郎さん、たくさんの想い出をありがとうございました。

2022年12月13日火曜日

ふるさとZIP探偵団

t f B! P L
お早うございます。早起きディレクターです。
今から30年前の1992年。
僕はその頃32歳でテレビの制作プロダクションに入社して7年を過ぎ、ようやく”いっちょ前のディレクター”になろうとしていました。
それまでにも、ちょっとしたスタジオバラエティーやスポーツ中継、取材ロケや旅ものロケなどもやらせてもらいましたが、いうてもまだまだ半人前”
本人もディレクターとして、もうひとつ自信(自覚?)が持てない状態でした。

ロケの楽しさを教わった「ふるさとZIP探偵団」


そんな1992年の春に突然ディレクターとして任命されたのが、関西テレビで土曜の朝10時から放送していた「ふるさとZIP探偵団」

出演は原田伸郎さん、新藤栄作さん、そして佐藤蛾次郎さんという個性的なタレントさんや役者さんたちと歌手の冴木杏奈さんの4人。(番組の後期は出演者も変わりました )
3人の男性陣がそれぞれ毎回探偵として、ZIPコード(=郵便番号)で指定された町を散策しながら、その町独自の秘密や名産、名物などを調査していきながら町の人々と交流する、といういわば今やテレビではよくある「街ブラロケ」の元祖みたいな番組でした。
しかもこの番組、当時はほぼ仕込みなし(ノーアポ)の「ガチンコ」ロケ
*ほぼ・・・というのは学校施設や神社仏閣など、まわりに迷惑をかけそうな場所には事前に撮影許可を得ることもあったからです。



そんないきあたりばったりのロケだからこそ、撮影現場ではたまには”ちょっとした事件”が起こることもありました。
でも関西という土地柄からか、たいていは地元の皆さんは優しくおおらかに撮影隊とつきあってくれました。(今から思えばいい時代でした)

時に、出会った人の中には「ふるさとZIP探偵団の撮影隊はとても親しみやすいわ」と感激してくださる方々もいました。
そして、なによりそんなフレンドリーな撮影隊の雰囲気を一番盛り上げたのが、出演する原田伸郎さん・新藤栄作さん・佐藤蛾次郎さんたちのそれぞれのキャラクターだったと思います。



三人の個性的な探偵さん


軽い毒を混ぜながらも、いつも軽妙で優しいユーモアを忘れない”知恵者”原田伸郎さん
ちょっと単純だけど(すいません😅)常に真っ直ぐ情熱的で愛に溢れた”兄貴分”新藤栄作さん。
そして全国的な人気俳優さんなのに、全く偉ぶったりおごったりすることない正真正銘の”庶民派”佐藤蛾次郎さん。

特に、蛾次郎さんのちょっと”すっとぼけ”ながらも味のある”自然体で正直”な佇まいが、その後も長く続いた「ふるさとZIP探偵団」の人気に貢献したことは間違いありません。
(番組は1999年まで13年以上も続きました)

おかげさまで1995年には番組で「関西ディレクター大賞」の優秀賞もいただきました。
そして、自分に正直に素直にロケをすることが、楽しい番組を作るうえでいかに大切かということも学びました。

想定台本はありましたが、書かれたとおりに進行することは、まずありませんでした


正真正銘の”庶民派”佐藤蛾次郎さん


蛾次郎さんは、旅先でどんな状況に陥ってもいつもマイペースで正直な人でした。
嬉しいときは心から楽しそうに振る舞うし、困ったときは本当に”途方にくれたように”見える。
しかもすべての動作、映像にどこか”哀愁(ペーソス)”を感じさせる。

僕はそれまで、そんな風にロケ現場で振る舞う人とはあまり仕事をしたことがありませんでしたから最初はかなり戸惑いましたが、それでも蛾次郎さんの独特の天然さ(時に小悪魔さ)だんだんとハマっていきました。
たぶんそんなスタッフや視聴者は僕だけではないと思います。

とくに食べ物に対する蛾次郎さんの愛着(執着?)ぶりはロケの中でもいかんなく発揮されていました。
いきなり出会った人のお弁当の中身にまで興味を持ち執着する蛾次郎さん😁

自身も料理が大好きで、東京では飲食店も経営していました。
大阪のスタジオに来た時にはよくスタッフのためにスパイスたっぷりの「蛾次郎特性カレー」を作って振る舞ってくれました。
(なんと、前日からスタジオで仕込みをしていた)
そして、スタッフがうまそうに食べるのを嬉しそうに眺めながら酒を飲む蛾次郎さん。
その哀愁を交えた優しい姿は、やはり長年の役者人生で揉まれ続けたからなんでしょう。





佐藤蛾次郎さんが78歳でお亡くなりになりました。

僕は蛾次郎さんのおかげで、嘘をつかずに仕事をすることの楽しさや大切さを知ることが出来ました。
最近はご無沙汰していましたが、いつか会える日を楽しみにしていました。
でも思い出はたっぷりとあります。
これまで本当にありがとうございました。

実はとっても二枚目で(瞳が美しい!)歌も上手で、スタッフおもいで、家族おもいで愛妻家だった佐藤蛾次郎さん・・・あの日の「マイ・ウェイ」の熱唱と、美味しいカレーの味はいつまでも忘れません。














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大阪市, 大阪府, Japan
関西在住。早起きのベテランTVディレクターです。これまで旅モノやドキュメンタリーを中心に活動。MBS「ちちんぷいぷい」の旅コーナー”『とびだせ!えほん』『前略、旅先にて』やKTV「ふるさとZIP探偵団」などを担当していました。 テレビ業界での経験話からドラマや音楽論。そして趣味の占星術まで色んなジャンルの話題をつづっています。

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