動画編集をするときの「躁」と「鬱」・・・三度生まれ変わっても届かない場所

2026年3月23日月曜日

TVディレクターの仕事 機材・映像制作

t f B! P L

お早うございます。早起きディレクターです。

深夜、あるいは早朝の静寂の中、編集ソフトのタイムラインを見つめている。 

モニターに映るのはα7S II(一眼レフカメラ)の望遠で捉えた立山連峰の雄姿。

そして、Osmo Pocket 3(簡易ジンバルカメラ)で舐めるように撮った富山ガラス美術館のモダンな曲線だ。

編集という作業は、実に残酷で、そして愛おしい「業」の肯定作業だと今更ながら思う。

いつも、自分の中で二人のディレクターが激しく火花を散らしている。



一人は、「躁」状態の自分。 

編集用にアートリスト(フリーBGMアプリ)で選んだある重厚なストリングス音楽が耳に飛び込んできた瞬間、「これや!これしかないわ!」と血が沸き立つ。

音楽のビートに合わせて、理屈抜きでカットを叩き込んでいく。

 「立山の神々しさから、一気にガラス細工の無機質な美へ繋ぐ。この飛躍、最高にオモロイやん!」 占星術的に言うならば、この時の自分は、万能感という名の「木星(ジュピター)」を背負っている広がり、膨らみ、どこまでも高く飛べる気がしている。

しかし、一晩置いて見返すと、もう一人の自分が冷ややかに画面を睨んでいる。

  「鬱」状態の自分、あるいは「土星♄(サターン)」という名の検閲官だ。 「このパンニング、コンマ数秒長いなあ。このカット、ただの思い入れやろ。削れ。もっとストイックに、もっと冷徹に」 昨日までの全能感はどこへやら。

1フレーム単位のノイズに怯え、不要な贅肉を削ぎ落としていく。この「引き算」の作業は、正直言って楽しくはない。けれど、この苦い精査を経て初めて、映像に「思い」と「品」という名の骨格が宿る。

「躁」で命を吹き込み、「鬱」で形を整える。

これが長年、私が実践してきた「編集の作法」だ。 

けれど、ふと思う。 数年後、この動画を見返した時、私はきっと「やり直したい」と悶絶するだろう。 「なんでここで、このカットを捨てたのか」「この繋ぎは甘すぎる」。

いままでもそうだったように・・・

だが、実際にやり直してみると、不思議なことに当時の「ダイナミズム」が失われ作品の生命感がなくなってしまう。 

始めて編集したあの時から少しだけ洗練された今の自分には、当時の自分が持っていた「無鉄砲な熱量」が再現できないのだ。 粗削りな「命」を、綺麗だけど無機質な「剥製」に入れ替えてしまうような喪失感。


発展(木星)と制御(土星)の使い分け。


これこそ占星術で言うところの、発展(木星)と制御(土星)の使い分けなのだろう。

しかし、言うのは簡単だが、これを極めるのは至難の業だ。 

それはどんな職業でもそうであろう。

おそらく私など、あと2,3回生まれ変わっても、「完璧な正解」には辿り着けない気がする。

それでも。

VTR冒頭のハイライトシーンで、完璧な望遠映像の後に、あえて「ピンボケ」の自虐カットを置く。 その瞬間の音の消し方ひとつに、今もなお、のたうち回りながら悩んでいる。

この「ままならなさ」こそが、私がカメラを放さず、商売にもならない動画を作り続ける理由なのかもしれない。 

未完成の自分を、そのままタイムラインに定着させる。 それが「TVディレクター」を経て、今を生きる私の、ささやかな「楽しみ」なのです。

でもやっぱり自分はよくよく「業」が深いよなあ、などと思う。

今日は朝からちょいと真面目モードなおじさんでした。










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元テレビ番組ディレクター。長年、映像制作の最前線で「伝えること」に心血を注いできました。 現在は、朝の澄んだ空気の中で行う「早起き散歩」と、各地の歴史に触れる「神社巡り」をライフワークにしています。現役時代に培った映像制作のノウハウを詰め込み、YouTubeでは「大人の本気の趣味」としての動画を配信中。 このブログでは、動画では語りきれなかった撮影機材の裏話、旅の細かな記録、そしてディレクター視点での「日常の切り取り方」を綴っています。 映像と文章を通じて、皆さんの日常が少しだけ豊かになるような「朝のひととき」をお届けできれば幸いです。 ▷ YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@HayaokiTVDirector ▷ お仕事・お問い合わせ:junyo1123@gmai.com

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