ディレクターの役割、放送局の誠意

2023年5月17日水曜日

TVディレクターの仕事 テレビ業界

t f B! P L
お早うございます。早起きディレクターです。
最近は、NHKのコロナに関する捏造報道が話題になっていますが、みなさんはもちろんご存知ですよね。

15日放送の「ニュースウオッチ9」という番組で、コロナワクチン接種が原因で家族を亡くしたと訴えている人々を取材したんですが、それがあたかもコロナウィルスが原因であったかのように視聴者に誤解させる編集を(敢えてして放送したものです。


僕はインターネットで放送済みの動画と遺族側が撮影したと思われる収録風景のノーカット動画を見比べたんですが、そのあまりの落差に愕然としました。

全く話の趣旨が違っていました。

遺族たちはテレビの取材を受けることで、少しでも自分以外のコロナワクチン被害者の救いになると思ったからこそ、自身の名前も顔もテレビに晒したであろうに、これではまったく意味がありません。
それどころか、今回のNHKの所業は最愛の人を失って絶望している人々の傷口にさらに塩を(毒?)なすりつけるような非人間的なものです。

*NHK取材の収録風景ノーカットVTR






担当ディレクターはその時なにを考えていたのか?


このNHKの捏造事件を取材したのは、きっと普通の心を持ったディレクターと撮影スタッフなのでしょう。
ネットで見た収録風景の動画からはそんな印象を受けました。
そうでなければ、わざわざワクチン被害を訴えている人々にカメラを向ける必要はありません。
しかもディレクターはコロナワクチン被害を訴えている”遺族の会”の人々に対しては常に同情的で、現場では時に目を涙をためていたとも聞いています。
(どうやらそうでもないかおしれない、という情報が先ほど入ってきました。それならば尚更悲しいことです。5月18日 20時追記)

しかし、取材が終わって放送してみればこの有様・・・
もうNHKの衰退は歯止めが効かなくなっているのでしょうか。

NHKにかぎらず、今や大手の放送局や代理店は力のある芸能事務所や政治家、有名タレントには常に顔色をうかがい平身低頭で従いますが、弱い一般人や知名度の低いタレントが何か事件を起こした時にはいっせいに叩きまくります。
今回の一件も放送局による弱い者いじめです。






もとディレクターとして想像するに、今回の取材ディレクターもコロナワクチン問題に対してはある種の義憤をもって、遺族たちに対しては同情心で取材に臨んだのでしょうが、いかんせん、ディレクターは大手放送局においてはほとんど無力です。

よく「ディレクターとプロデューサーってどっちが偉いの?」などと、視聴者の方から無邪気な質問をうけますが、そもそも職種が違うので偉いも偉くないも無いのです、としか答えられません。
しかし放送する上での最終判断などの権限においては、やはりプロデューサーのほうが力は上です。しかも放送局員以外のディレクターならなおさらです。
(だからプロデューサーを目指そうとする若手ディレクターが増えているから困ったものです)

しかも局内にはプロデューサーよりさらに発言権を持つ上役たちが存在します。
そんな放送局を動かすプロデューサーや上層部の人々が放送するにあたって常に立派で正しい判断が出来るのか?というと、もちろんそうはいかないでしょう。
なにしろ彼らは関係スポンサー(しNHKは公共放送だ!)や視聴率をあげてくれるような有名人やタレントなどとのお付き合いにも気を使わねばなりません。
そんな人たちが色んな事情で番組に口を出してくる場面も何度か見てきました。

何度も言いますが、それにくらべて日本の今のTVディレクターの力なんて微々たるものです。
どんなに優秀な番組を作ったとしても、結果的には何の権利もありませんし残りもしません。
でも、だからこそディレクターは自分の作った作品や取材先に「誠意」と「責任」を持つことで誇りを保つのだと考えます。

ディレクターの誇り


自分は長年、現場をしきるディレクターは全スタッフの「切り込み隊長」であり、弱い取材対象者たちを守る「最後の防波堤」でありたい、と考えてきました。

「取材される人や、出演者、スタッフの誰であれ、その取材に関わる人間の誰かひとりでも不幸になるような内容のものは絶対に放送したくない

もちろん、これは理想論かもしれません。
でもこれくらいの気概を持って取材にのぞむのがディレクターである、とかつて先輩からいやというほど教えられました。

遺族の会関係者の強い抗議があったせいか、昨日はその番組最後で謝罪していましたが、NHKアナウンサーの言葉とはうらはらにその映像は僕にはまったく誠実な態度には見えませんでした。
NHKは今回のことを口先だけの謝罪で済ませるのではなく、本来の取材趣旨に則って再編集したものを改めて放送することが遺族の方、そして視聴者への最低限の誠意と考えます。
そして担当したディレクターも最後まで取材者と向き合わなければならない。
取材者を守ることは、取材現場で彼らと心を通い合わせたディレクターの使命です。

どんな職種にせよ、人間は心をなくしたら終わりです。



















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関西在住。早起きのベテランTVディレクターです。これまで旅モノやドキュメンタリーを中心に活動。MBS「ちちんぷいぷい」の旅コーナー”『とびだせ!えほん』『前略、旅先にて』やKTV「ふるさとZIP探偵団」などを担当していました。 テレビ業界での経験話からドラマや音楽論。そして趣味の占星術まで色んなジャンルの話題をつづっています。

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