たいせつな思い出があるから頑張れるんです

2020-07-12

とびだせ!えほん

t f B! P L
お早うございます。早起きディレクターです。
60年も生きてくると人間にとって ”思い出”がどれほど大事なものかがわかるようになるもんです。
今回の「おうちで一緒に絵を描こう!3」でいただいたリクエストメールを眺めていると一層その思いを強くしました。
思い出は人それぞれですが、やはり家族に関したものが多いようです。
母におぶわれた記憶もそのひとつでしょうか。



下書きをしない描き方、生き方


絵本作家の長谷川義史さんは絵を描く時には下書きをしません。
ただ描く前はいつもしばらく考えこみます。
そういったシーンは旅の放送ではあまりお見せしないのですが、今回はあえてそんな画伯が悩む様子を見ていただきました。
長谷川さんだって”0から1、つまり真っ白な状態から何かを生み出す前は不安”。
そんな画伯の姿を見てもらって「下書きをしない」という意味をもう一度考えたかったからです。




長谷川画伯曰く「下書きをしないで描く線はいきいきとして迫力がある」

下書きをするとそこには制約が生まれます。だから想定したカチッとしたものは生まれるけれど、どうしても広がりには欠けます。
この考え方は絵画だけではなく創造する分野の様々なことにもあてはまるのではないでしょうか。
もしかしたら、生き方にも関わってくるかもしれない。
すべて想定した安全なことだけをしていて、まったく冒険しない生き方からは何がうまれるのか
・・・いろいろ考えさせられます。

目を描く・・・母子が夕焼けによみがえる

クライマックスは母娘に目をいれる作業。
親子の表情を決定する大事な瞬間です。
長谷川さんはこの時、日本画の絵筆を使っているのですが、筆は長く使うと先が割れることはよくあるそうです。
眉をひく時に筆先が割れたときには、見ているこちらまでハラハラしてしまいました。
でも「筆が割れた絵はそれでそれなりに味になる」と長谷川さんはいいます。

そして絵は完成・・


緊張感はカメラマンにも伝わります。
繊細に震える筆先から浮き上がるひと組の母娘・・・

そこには、夕日の中、娘をおんぶするやさしいお母さんと甘えるのが苦手ではにかみながらもうれしそうに微笑んでいる女の子がいました。
ここまで一切下書きはありません。



ところで完成した上の絵を見てください。
お母さんの口元の下にぽつんと残る薄い赤が目に付きませんか?
僕にはこれが「薄くひかれた口紅」のように見えます。
それがさらにお母さんの優しい表情を引き立てているように感じられてなりません。

もちろんこれは偶然のもので「もし意図的に描いたならとてもあざといものになっただろう」と長谷川さんは言います。
こうした思いもよらない出来事さえも下書きがないところから生まれるのでしょう。


リメンバーミーベイビー


最後に、今回も音楽の質問があったのでここでご紹介します。
この母娘を描くシーンで流れていた音楽は山下達郎さんの「リメンバーミーベイビー」という曲で、重厚なコーラスは山下さんが全部一人で多重録音したものです。














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