おはようございます。早起きディレクターです。
「今のYouTubeやVTRは、言葉で埋め尽くされすぎていないか。
かつて毎日放送に、独特の音声で映像に命を吹き込む伝説のアナウンサーがいました。
小池清さん。
20年以上のキャリアを持つ私にとって、彼は単なるナレーターではなく、映像表現の『師』でした。小池さんから学んだ、プロのナレーションの本質を振り返ります。
クラリネットのような声の響き
大阪市北区南森町駅から天神橋商店街を500メートルほど歩いた川沿いの場所にテレビのナレーションを収録するスタジオがある。
小池さんは月に1度、佐川満男さんの「前略、旅先にて」(毎日放送ちちんぷいぷいの旅コーナー)の語り手として箕面にある自宅からここにやってこられた。
駅からスタジオまではおよそ5分ほどの距離だ。
しかし小池さんは20分近くかけてゆっくり歩かれる。
「タクシーを使って下さい」と何度お願いしても「商店街を歩くのが楽しみだから」と、頑として譲らなかった。
そして必ず約束した時間の10分前には颯爽とスタジオに登場された。
黒や茶色を基本にしたお洒落な皮コートとベレー帽。
長身で背筋をピンと伸ばした姿。
たまに30分近く早く来られることもあったが、そういう時は
「いやあ、早く来過ぎちゃったかな?」
と丸くて優しい声でにっこり微笑まれた。
春なのに天候不順が続いたある雨の日、一度体調を崩された。
スタジオのソファーから立ち上がるのさえ辛そうだったが、この日も送迎の申し出を固辞され商店街を歩いて帰られた。雨の中、傘をさしてゆっくり去っていく後ろ姿が忘れられない。
最後の録音はコーナーが最終回を迎える2011年の9月だった。打ち上げの酒席ではじめて若い頃の話を聞かせて頂いた。
最後の録音はコーナーが最終回を迎える2011年の9月だった。打ち上げの酒席ではじめて若い頃の話を聞かせて頂いた。
実は小池さんはもともと自分の声があまり好きではなかったのだという。
しかしある録音技師さんの一言がきっかけで自信を持てた。
「小池君の声はまるで木管楽器のようだね」
丸みがあって深みがあって上品な小池さんの声はたしかに“木管楽器”だ。
例えば良質のクラリネットのような…心地よく響く音。
きっと今頃、空の上で「いやあ、早く来過ぎちゃったかな?」と、丸く優しい声で
にっこり微笑んでおられるのだろう。
にっこり微笑んでおられるのだろう。
(一部加筆、修正しました)
小池清さん…もと毎日放送のアナウンサー
名番組「アップダウンクイズ」の司会で全国的に知られる
2000年にフリーアナウンサーに転身
「前略、旅先にて」などのナレーションを担当
2012年4月28日 80歳で逝去
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